医療・介護・福祉機関において、発災後の医療・ケアサービスの継続は大きな課題であり、いわゆる災害弱者・要配慮者への対応を含め、平時より更なる医療介護福祉連携の重要性が増す。病院・診療所・訪問看護・介護・福祉施設を含めた地域包括ケア・地域共生社会構築の文脈で、地域連携型のBCP策定を目指す。これを我々は、地域BCPと呼ぶ。
まず、地域BCPの目的から確認したい。各機関のみならず、地域全体の医療・ケア提供の継続と早期復旧を可能とすることであり、最大の目的は、各機関のスタッフ・患者・利用者のみならず、多くの住民の“いのち”と“健康”と“暮らし”を守ることにある。
地域BCPは、有事において有限の地域のヘルスケア資源を最大活用するための重要なツールとして期待されている。地域BCPがあることで、地域の総力戦を可能にするのだ。
例えば、実際に自治体等から地域BCPが発動されたとする。これを受けて、各医療・ケア提供機関は自機関のBCPを発動し、通常業務の一部を縮小、または一時中止する。そして、各機関が地域の医療・ケア継続のためのタスクを遂行する人材を捻出することが可能となる。ここで言う「地域の医療・ケア継続のためのタスク」とは、例えば新型コロナウイルス感染症の場合であれば、「自宅療養者・入院待機者への架電や訪問によるサポート」というタスクであり、また自然災害の場合であれば、「自宅避難者の戸別訪問」や「避難所運営のサポート」といったタスクが生まれる可能性が高いだろう。
このように、有事には、平時の通常業務には組み込まれていないが、地域の医療・ケアを継続させるために必要なタスクが生まれる。当然、そのタスクを遂行するための人材が必要となる。
そうした人材を有事に確保するには、あらかじめ地域の各医療・ケア提供機関でどのようなケースが起こり得て、どんなタスクが生まれ、どのぐらいの人材が求められるかを話し合い、想定しておくことが必要だ。そして具体的な手続きや、方法について準備し、共有しておかねばならない。これが地域BCPに該当する。
では、地域BCPをどうやって策定していけばよいだろうか。その方法を明らかにすることを目的とし、2022年11月以降、順次、26のモデル地域が採択された。それぞれのモデル事業地域及び活動概要は以下の通りであり、それぞれの活動内容を以下の通りまとめた。各地域での取り組みの参考になれば幸甚である。
厚生労働省 在宅医療の事業継続計画(BCP)策定に係る研究研究代表者 山岸暁美
2023年度モデル地域とその取り組みは下記のとおりです。
準備ができ次第公開いたします |
2022年度モデル地域意見交換会動画URLと資料はこちら。
(資料の5ページ目に各地域の取り組み内容の動画URLが掲載されています。)
2022年度BCPモデル地域意見交換会配布資料ならびに動画URL一覧.pdf